



Make Your Own Compass
ワークショップレポート
人生100年とVUCA※と呼ばれる時代の到来。「なりたい自分」になるためには、ゴールまでの道筋が描かれた地図ではなく、今この瞬間に自分が何をするかを判断するための行動指針(コンパス)を持ち、組織に縛られずに働くことが必要になっています。
そこで今回のワークショップでは、一つの肩書きや組織にとらわれない自由で主体的な働き方を実践し、理想の自分を目指すことができるのかについて探求しました。
※VUCAとは、Volatility・Uncertainty・Complexity・Ambiguityの頭文字を取った造語で、社会やビジネスにとって、未来の予測が難しくなる状況のことを意味します。
※開催にあたっては、新型コロナウイルスの感染症対策を実施しています。
ワークショップ概要
FUTURE GATEWAYに集う「越境走者=t'runner(ランナー)」は、理想の自分を目指すために組織にとらわれず柔軟な働き方を実践しています。そこで、t'runnerのみなさんにご自身の特徴的な行動や考え方などについて事前アンケートを行い、「t'runnerは、比較的新しいことに対する心理的ハードルが低く、フットワークが軽い」との仮説を得ることができました。この仮説に則ってt'runnerが理想の自分を目指す上で大事にしていることについて、以下の4つをテーマにディスカッションを行いました。
1.t'runnerに特有の働き方(生き方)とは
2.t'runnerに特有の考え方とは
3.t'runnerとして日ごろから心掛けていることとは
4.理想の自分を目指して柔軟な働き方を実践するための条件とは
関連するプロジェクト
「Make Your Own Compass」プロジェクト
ワークショップ詳細
本ワークショップには、外部参加者1名、t'runner 6名、ワークショップ運営2名の合計9名が参加しました。ディスカッションの詳細は、以下の通りです。
参加者は、これまでの活動、キャリアを描いてきた中で選んだ働き方、生き方について共有しました。結果、t'runnerの多くに共通する次の2つの特性が見えてきました。
①人や組織に縛られずに働きたい、自分の時間を確保したいといった、自らが道を選ぶ主体性の高さを備えている
②主体性の高さを活かし、興味関心をもとにコミュニティに参加しながら転職をするうちに、運や繋がりで今の仕事をしている
参加者が大事にしてきたマインドセット、考え方、信念について共有を行いました。結果、t'runnerの多くに共通する次の2つの特性が見えてきました。
①知的好奇心、チャレンジ精神が強く、新しいことに対するハードルが低い
②自分の評価軸を大事にし、違和感を機敏に察知することに長けている
t'runnerへの事前アンケートを元に導き出したt'runnerとして日ごろから心掛けている4つの要素(①モチベーション、②フットワークの軽さ、③スキル、知識の向上、④情報発信、自己表現)について、これまでの働き方を振り返り、それぞれの重要性についてディスカッションを行いました。


その結果、モチベーションの維持・発見とフットワークの軽さは連動したものであるということがわかりました。t'runnerはモチベーションを見つけるために自己認知の必要性を認識しており、そのために直感や、ワクワク、好奇心など、自分の心に素直に従い、行動をおこすためのフットワークの軽さを大事にしているようでした。
また、スキル、知識の向上は必要ではあるが、その他の要素に比べると重要性が低いこと、情報発信、自己表現は仕事の内容に応じて必要性が変わることが、共有されました。
理想の自分を目指して組織にとらわれず柔軟な働き方を実践するための条件について、ディスカッションを行いました。
ここでは、リスクをどう認識するかについて、見方の異なる次の2つの意見が出ました。この見方の違いが生まれている要因には、自己肯定感の高低、成功体験の有無、フットワークの軽さが互いに影響を与えているのではないかという意見が出されました。
- ①自己肯定感が高い人は、過去に成功体験が多く、自分に自信がある。その結果、リスクを取って挑戦することができる
- ②自己肯定感が低い人は、過去の成功体験が少なく、自分に自信がない。その結果、リスクを取れずに途中で迷ったり、心が折れてしまい、挑戦することができない
まとめ
ディスカッションを通し共通して出てきた、理想の自分を目指すために必要な要素は以下の5つです。
②自分が何をしたいか、したくないか、仕事をする上で重要なモチベーションとなる自分軸は何かを研ぎ澄ませるために、とりあえずなんでもやってみる精神を持ち、それが違っていたらやめると言った柔軟な意思決定ができる
③フットワークの軽さを重視し、働き方の選択をしたり、時間に余白を持たせたりする
④知的好奇心を強く持ち、新しいことに対する心理的ハードルを低くする
⑤新たなことへの挑戦に向けた心理的ハードルは誰でも少なからずある。そこで、心理的ハードルを下げるために次のPDCA((a)→(b)→(c)→(d)→(e)→(f)→(a)…)を回してみる。
(a)自己肯定感を高く持つ→
(b)フットワークを軽く、行動を起こしてみる→
(c)成功体験(又は失敗体験)を享受→
(d)行動の振り返り→
(e)モチベーション確認・軌道修正→
(f)自分軸の解像度を高めていく→(a)に戻る
今後のプロジェクトの展望
本ワークショップでは、理想の自分を実現するために実践すべき働き方、生き方、考え方、行動の起こし方について議論をしました。
t'runnerのみなさんへの事前アンケートに基づく「比較的新しいことに対する心理的ハードルが低く、フットワークが軽い」という仮説が、理想の自分を実現するための重要な要素であることが確認できました。一方で、全ての人が「なりたい自分」になることを叶えるためには、主体的に、自己評価軸を持って、行動を起こしていくことが重要であることが分かりました。ここで鍵となるのが、自分の選択に自信を持つための、自己肯定感と成功体験となります。
これからの活動を通じて、挑戦を支える土台作り、ワクワク、興味を追求できる自己肯定感を育む環境づくり、コミュニティづくりを行い、自己実現を目指す全ての人が「なりたい自分」に近づける仕組みづくりを行ってまいります。
ワークショップ参加者
安藤智博 / していいシティ代表
1996年、福島県出身。大学職員や地域シンクタンクにて特別研究員(デザインリサーチ)、東京大学発イノベーション教育プログラムi.school通年生を経て独立。2021年、都市のタブーに切り込むアーバニスト組織“していいシティ”を立ち上げる。
古山正裕 / HELP YOU PROJECT代表
1991年千葉県長南町生まれ。学生時代の留学生寮コミュニティの運営に携わったことがきっかけで『多国籍医療』をテーマとしたプロジェクト(HELP YOU PROJECT)を立ち上げる。
市橋正太郎 / Address Hopper Inc.代表
1987年兵庫県生まれ。IT企業勤務を経て、2019年Address Hopper Inc.を創業。移動型ライフスタイル「アドレスホッピング」を提唱し、約4年間自らも実践。KDDI総合研究所との共創イニシアチブ「Future Gateway」創設メンバー。第一弾プロジェクト、移動式サウナ“Hoppin’Sauna”プロジェクトリーダー。
野上誌穂
1995年長野県生まれ。ライフスタイル商材のリーディングカンパニーにおいて、商品・CSRを含むコーポレート領域までの包括PRプロデューサーやブランドコミュニケーションディレクターを担当。
澤村俊剛 / 株式会社METRIKA,Inc. 取締役 COO
1989年奈良県香芝市出身。2013年パーソルキャリア株式会社 (旧インテリジェンス) 入社。戦略人事部 新卒採用部において、西日本採用拠点の立ち上げを行う。2021年に誰もがデータを使いこなせる社会作りを目指し、株式会社METRIKAを創業。
武 海夢
中国で生まれ、小学校の2年間を新潟県上越市で過ごす。大学時代にワシントンDCに留学し、就職一年後東京に転職。市場調査、広告を経て、現在ピンタレスト日本のグロースマーケティングを統括する。
・木場俊 / KDDI総合研究所 コアリサーチャー
・江島啓 / KDDI総合研究所 コアリサーチャー
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