



「DISCUSSION WITH INTERNATIONAL PEOPLES IN JAPAN」を開催しました
日本には、出自や国籍を海外に持つ数多くの方が暮らしています。そうした方々の協力と支えがあって今の日本社会は作られています。その一方で、そうした方たちが謂われのない偏見や差別によって、満足のいく生活を送れなかったり、生活そのものが脅かされるような事態も起きています。
日本在住のインターナショナルな参加者に集まってもらい、「DISCUSSION WITH INTERNATIONAL PEOPLES IN JAPAN」をテーマとして、KDDI research atelierでワークショップを開催しました。
※開催に当たっては、新型コロナウィルスの感染症対策を実施しています。
ワークショップ概要
日本在住のインターナショナルな参加者が集まり、日常生活の不満を共有することで、さまざまな文化の視点から見た課題を発掘し、新規ビジネスの創出につながるアイデアを語り合ったのが、今回のワークショップです。
関連するプロジェクト
Social inclusion
「国籍や出自を意識しなくとも良い、”当たり前の明日”を創る。」
島国である日本には、海を隔ててもなお多くの方が諸外国から来訪しており、この日本社会の経済や文化の発展を支える一員として日々の生活を送られています。一方で、その国籍や出自が国外であることで様々な偏見や差別が生まれ、日常生活において本来当たり前にできてしかるべき活動ができず、ペイン(課題)につながるシーンも多いのが実情です。
本プロジェクトでは、在留外国人のソーシャルインクルージョンをテーマに、日常生活における在留外国人のペインをICT技術の活用により解消し、在留外国人が自身の国籍や出自を意識しなくとも当たり前に活躍できる社会の実現を目指します。
ワークショップの詳細レポート
ワークショップの冒頭では、参加者が5名程度のグループに分かれ、自己紹介のブレイキングタイムが設けられました。さまざまな国籍の参加者の出身地の話だけでなく、日本文化の話題などで大きく盛り上がりました。

また、自己紹介の中では、それぞれの参加者が1週間の予定をシェアしました。1週間の予定を書き出しながら、「増やしたい時間」と「減らしたい時間」に分けて考えることで、生活の中でどんなニーズがあるのかを導き出すことができます。
自己紹介の主な事例
・Gさんはイギリス出身です。外資系企業に務めており、新型コロナウィルス感染症拡大下の現在は、リモートワークが中心の生活を送っています。しかし、「誰にも会わない生活になってしまう生活」を危惧し、水曜日には、昼食を食べてから出社。夜は恋人と過ごすなど、人と会うことに時間を使っています。
・Sさんは中国の四川省出身です。多趣味のため、ボランティア活動だけでなく、弓道や書道、卓球など、さまざまな活動に時間を使っています。また、空き時間にはインターンに参加する他、就職活動も並行させ、非常に多忙な1週間を送っています。
・Mさんはハワイ出身です。起業準備中とのこと。夜型のため、朝はゆっくりとスタートします。日曜日から金曜日にかけて毎日仕事をこなす生活を送っています。また、昨年まではUber Eatsで夕食を頼むことが多かったそうですが、現在は多めに夕食をつくることで、コストを下げて生活するように工夫しています。
・Aさんはイタリア出身です。日本語学校に通っているため規則正しい生活を行っています。また、チーズをつくるアルバイトをしています。イタリアにいる日本語学習者向けに基礎的な日本語を教える仕事もしています。
ディスカッション:生活や仕事での共通の課題を洗い出そう
自己紹介のあとは、紹介された1週間の予定から、日本で暮らす上での共通の課題を議論するディスカッションタイムが設けられました。
参加者からは、以下のような課題が挙げられました。
・住宅を購入する際にローンを組もうとすると銀行の審査が厳しい
・入居希望者が外国人だと大家さんや不動産屋の態度が変わることがある
・行政や銀行の手続きにおいて紙でのやり取りが多すぎる(日本語は話せても、読み書きが非常に難しい)
・クレジットカードが作れない(作れたとしても限度額が極端に低い)
・融通が効かない(レストランでカスタマイズが受け入れられずマニュアル通り)
・子どもを預けられるベビーシッターなどが見つからない
・日本の伝統的な大手企業とは、仕事を始めるハードルが高いように感じる

今後の展望
今回のワークショップでは、さまざまな国から集まった参加者が1週間の使い方をシェアすることで、課題やニーズを深ぼる試みを行いました。
その中で明らかになった日本人が当たり前に享受できている権利や社会からの信頼性を外国人が得られない現状に危惧を感じており、これからもバイアスがない社会のために尽力していきたいと考えています。
参加した先進的な生活者
上野チェルシー有彩さん / ビジネスデザイナー
アメリカ生まれ、福岡県久留米市育ち。複数の海外Tech企業の日本支社立上げに従事。現在はフリーで、国内外の企業の新規事業に特化した支援を行っている。
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