内向型の人が躊躇なく行動するために
内向型は人の性格の一つであり、興味の方向が自分の内側に向きやすいことが特徴と言われています。そして、世の中の一定数が内向型であるにも関わらず、社会的には外向型であることが良いとされる風潮があり、内向型の人にとって生きづらくなっていることを課題と考えています。
内向型の人が活躍したり物事を楽しむには、最終的には何かしらの行動を伴う場合が多いと考えています。しかし、内向型の人は特に初めての行動に躊躇する傾向があると考えました。そこで、内向型であるにも関わらず、あまり内向型に見えない行動を実施している人たちに集まってもらい、その行動を取った初めての経験や、他の参加者の経験に対する共感ポイントなどを幅広く議論しました。
ワークショップ概要
- 1. 初めての行動の経験を共有
内向型には見えない行動を初めて実施した際の動機、きっかけ、課題、過程といった点について紹介し合いました。
- 2. 他の参加者の行動に対する共感や相違点に関する議論
他の参加者の経験について、共感や納得できる点、または逆の考えなどの意見を出し合いました。
関連するプロジェクト
※本プロジェクトは2023年11月に終了しました。
ワークショップの詳細レポート
2グループに分かれて各自の初めての行動の経験を共有し議論しました。
▪︎グループ1
- 1.参加者の初めての行動
- ・t'runner牧内恵一朗:アイドルのライブ参加
- ・さくらいさん:大学の委員会の立て直し
- ・野尻さん:久しぶりの相手に声をかける
- 2.議論で出された意見
- ・モチベーションが行動への心の障壁を上回ることができると行動につながる。
- ・責任を負わされた時の反応は人によって分かれそう。
- ・一つの事に集中できる環境があると良い。
▪︎グループ2
- 1.参加者の初めての行動
- ・t'runner加藤 翼:サッカーでの自己主張や交流
- ・みもりさん:会社の立ち上げ
- ・雨音マモルさん:VTuber活動
- 2.議論で出された意見
- ・役になりきったり、アバターがあったりすると、行動しやすくなる。
- ・自分でコントロールできる環境があると安心する。
- ・自分の考えを周りに伝えると、周りが理解してくれるようになる。
- ・意外と、他人は自分に注目していない、興味がないことに気付いた。
▪︎まとめ
- 各グループでの議論から、次の特徴的な項目が確認できました。
- ・動機:興味関心。他人を助けたい。後悔したくない。
- ・きっかけ:強制的な環境。偶発的な出来事。
- ・課題:人の目が苦手。コントロールできない環境。
- ・過程:やってみると楽しくなっていく感覚がある。
- 不得意なことを避けて実施しやすい方法を模索してきた。
- ・対策:事前の準備やシミュレーションにより安心感を得てからの行動。
- 役になりきっての行動。
- 自分の事をある程度隠しての行動。
今後のプロジェクトの展望
今回のワークショップでは、内向型の人が初めての行動をする場面に絞って、各自の経験の共有と議論を行いました。その結果、さまざまな動機やきっかけ、課題が出され、内向型という特徴が行動の障壁となることが多いことが確認できました。事前のシミュレーションや役になりきっての行動といったいくつかの対策をテクノロジーを使って再現し、一般化できる可能性もあるため、今後は行動の障壁への解決方法を具体的に検討していきます。
ワークショップ参加メンバー
平田紀史/KDDI総合研究所
2030年を想定した新たなライフスタイルを検討しており、「内向型でも生きやすく」「クライマタリアン」などのプロジェクトに参加
牧内恵一朗/t'runner、組み込み系システムエンジニア
加藤 翼/t'runner、株式会社qutori CEO、株式会社ロフトワークコミュニティデザイナー
小原朋広/KDDI総合研究所
江島 啓/KDDI総合研究所
神谷尚保/KDDI総合研究所
外部参加者(敬称略):みもり、雨音マモル(VTuber)、さくらい、野池