



おいしいと地球をつなぐ。「クライマタリアン」プロジェクトが「アースデイ東京2023」に出展
世界最大の環境ムーブメント「地球の日」をきっかけに、環境問題・社会的課題解決に向けて、意識変革・行動変容を呼びかけてきたフェスティバル「アースデイ」。日本では、1990年に第1回目のアースデイが行われたのを出発点として、全国各地でアースデイ関連のイベントや企画が行われています。東京では、毎年、4月22日の地球の日の前後の土日、代々木公園を中心に「アースデイ東京」が開催されています。
今年で22年目を迎えたアースデイ東京のキャッチコピーは「ファミリーアース〜誰もが歓迎されるやさしい場所へ」。地球を構成するあらゆるものがつながり合い、共に生きる持続可能な社会をつくることをテーマに開催されました。
地球環境に強い関心を持つ層が集まるこのアースデイ東京において、今回(4月15日、16日)「FUTURE GATEWAY」のプロジェクトの中で特に親和性が高いとされる「クライマタリアン」プロジェクトがブース出展しました。

飲食出店者を“クライマタリアン観点”で紹介
今回、FUTURE GATEWAYおよびクライマタリアンプロジェクトは、環境に優しい食材を選んだり、自然の恵みを味わえるフードエリア「アースデイキッチン」においてクライマタリアンを体感できるグルメマップを展開しました。
企画名は「クライマタリアン×アースデイ東京 ~おいしいと地球をつなぐグルメマップ~」。フードロスや地産地消、ヴィーガン、代替肉など、「アースデイ東京2023」飲食出店者の環境に対するこだわりをチェックしながらアースデイキッチンを楽しめるという趣意です。
クライマタリアンとは、地球環境のために、食由来の温室効果ガスの排出量を減らすよう配慮した食生活を選択する人のことを指します。
特定の食材を禁止するなどのルールはなく、サプライチェーン全体で温室効果ガスの排出量が少ない食材を選択するという考え方が特徴です。比較的自由度が高く、それぞれの生活者が実現しやすい方法で実践可能なライフスタイルです。
プロジェクトメンバーのMayuさんは「気候変動は“地球規模”の課題なので、いち生活者の実感値としては“自分ごと”になりにくい面もあるため、毎日誰しもが選択をする“食”という身近な切り口から気候変動の問題などをアプローチしていきたい」と話しており、このプロジェクトを通してクライマタリアンという考え方をもっと身近に感じ、手軽に実践できる環境を目指しています。

「プロジェクトのコンセプトにどのくらいのポテンシャルがあるのか、ターゲットの層を広めて検証する素晴らしい機会」と今回の出展の意義を語るMayuさん
Mayuさんが手がけるコミュニティ「Climatarian.jp」では、「環境負荷の低いお肉を使用」「プラントベース(代替肉)の食材を使用」「フードロスの削減」などいくつかの「クライマタリアンアクション」を設定し、広めています。
このクライマタリアンアクションの喚起を最大化すべく、今回アースデイ東京2023に出店するすべての飲食店が、自店に該当するクライマタリアンアクションのマークを掲出しました。
また、前出のグルメマップにも、全飲食店の情報一覧とともにクライマタリアンアクションのマークを掲載することで、相互に「クライマタリアン」という言葉と行動例を示すことを実現。
特にグルメマップでは、イベント全体のグルメ情報や飲食店の位置情報を求めにブースに訪れた人に対しても、自然にクライマタリアンの考え方を訴求できていたことがうかがえました。

(上)クライマタリアンブース前に展示したグルメマップ (下)アースデイ東京2023に出店したすべての飲食店ごとに該当するクライマタリアンアクションのマークが掲出された
“重さ”で、GHG排出量を体感
今回出展したブースとしての“メインディッシュ”は、このグルメマップでしたが、ブース内には他にもクライマタリアンをもっと身近に、そしてより深く知ってもらうための仕掛けが用意されていました。
その1つが、料理毎のGHG(温室効果ガス)排出量を当てるクイズで、ハンバーガーやとんかつ、海鮮丼など一般的に親しまれている料理のイラストを貼った袋をGHG排出量の多い順に並べるというもの。
この袋の中には、GHG排出量の多さに合わせた重りが入れられており、参加者はその重さで料理毎のGHG排出量を体感することができます。
参加した皆さんは予想を楽しみつつ、ハンバーガー(GHG排出量=CO2換算で2029g)の袋を持ち上げると「あっ、やっぱり!重い!」という声が上がったり、とんかつ(同960)には「あれっ、思ったより軽い?」、海鮮丼(同771)には「意外と重い!」と、さまざまな反応が参加者から得られました。
中には「牛のげっぷに温室効果ガスが含まれていることは知っていたが、その話と自分の目の前のメニュー選択を結び付けたことがなかった」、「料理から環境負荷への影響を考えたことがなかった。新しい考え方を得られたように思う」という声も。

(上)イラストに惹かれるように子どもの参加も多かった (左下)「宣言ウォール」では「目指せ!100人のクライマタリアン誕生」を掲げた (右下)シールを貼るだけでなく、具体的な“宣言”をする参加者も
Mayuさんも「 “並べ替えクイズ”の正解が分かると、『なんで?!』となり、その先の理由への興味を持っていただけたようです」と感じたように、ブース内に展示されたクライマタリアンの考え方や広めたいライフスタイルを紹介したパネルを熱心に読み込む参加者も多く見受けられました。
さらにそのパネルの隣には「クライマタリアン アクション 宣言ウォール」と題したパネルが掲げられ、クライマタリアンの考え方を理解・共感した参加者が「明日から取り組んでみたいアクション」を“宣言”できるスペースを用意。あらかじめパネル内に記載された「旬の野菜を選んでみよう」、「食べ物の環境負荷について調べてみよう」、「大豆ミートなどのプラントベースフードを試してみよう」などのヒントをもとに、思い思いの意思表明が集まり、「宣言ウォール」は活気を帯びました。
中でも「クライマタリアンの考え方について友達に伝えてみよう」という“宣言”が多かったことには、「ご自身の周りの方にクライマタリアンについて話してみたいと思ってくれた方が多くいたことは大変励みになります」とMayuさんもクライマタリアンの認知と実践者の拡大へ手応えを感じていた様子。

「一般の方にクライマタリアンを紹介させていただき、『クライマタリアン』という言葉やそのコンセプトを認知してもらえて良かった」とプロジェクトメンバーのKDDI総合研究所・平田紀史さん(左)
性別、年齢を問わず支持される可能性
都度悪天に見舞われながらも、ブースには約1,000名が来訪。飲食出店者と協働してクライマタリアンをアプローチしたことや気軽に参加しやすいクイズなども奏功し、さまざまな層と触れ合うことができました。
「一般の方にクライマタリアンのコンセプトを説明しても、『実際にやるのは難しそう』、『必要性が分からない』といった理由から、否定的な意見を持つ方が一定数いることも予想されたのですが、今回のイベント来場者のような親和性のある方々にはスムーズに受け入れていただけるという実感を得ました」と同プロジェクトを推進していく自信ものぞかせたMayuさん。
“日本最大級の環境フェスティバル”と称されるアースデイ東京において、先進生活者への共感を広げたいFUTURE GATEWAY、そして地球環境に親和性の高いクライマタリアンプロジェクトによる今回の出展はとても意義深いものとなりました。
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