Mayu
私のライフスタイルルール

日々さまざまな先進的アクションやライフスタイルを提唱しているt'runner。その先進性は実生活の中でいかに恒常化しているのか？を“ライフスタイルルール”として紹介していく当シリーズ。
今回は、気候変動と食の関係の未来を模索するMayuが登場。
FUTURE GATEWAYでは「人にも地球にもやさしい食事をおいしく楽しみながら豊かに生きる」をテーマにした「クライマタリアン」プロジェクトを牽引する彼女の“ライフスタイルルール”とは？

Mayu（まゆ）/気候変動と食の関係の未来をつくる「Quisine」ファウンダー。アル・ゴアの映画「不都合な真実2」を観て、気候変動が今後最も多くの人の悲しみを生む課題だと直感し、気候変動へのアクションを行うことを決意。誰にとっても身近で自身も大好きな食から、楽しくておいしく、インパクトの大きい気候変動アプローチを模索している。FUTURE GATEWAYでは「クライマタリアン」（地球環境のために食由来の温室効果ガスの排出量が少なくなるよう配慮した食生活を選択する人）のライフスタイルをもっと身近に感じ、手軽に実践できる環境を提供していくためのプロジェクトのリーダーを務める。
Mayuのパーソナルインタビュー[MY PERSPECTIVE]はコチラ

t'runner Mayuのライフスタイルルール

• LIFESTYLE RULE.01
• 気持ちよく食べる

• LIFESTYLE RULE.02
• 楽しく食べる

• LIFESTYLE RULE.03
• 無理せず食べたいものを食べる

おいしくて、自分が食べたいものが環境に良いものだったら、みんなも地球もハッピーになれると思うんですよね。そのような食べ物を選ぶこと・選べることに私はすごく気持ちよさを感じるんです。その気持ちよさって、その食べ物が環境に配慮された、もしくは環境に良いということを自分が知っていることで感じられるものなので、食べ物がどのようにつくられているのか、その地球への影響はどんなものなのかということを知ることを大切にしています。
「環境に良い食事」という言葉を聞いたときに「なんか制約が多いんじゃないか」とか「ベジタリアンのように、肉や魚を食べちゃダメなの？」と思われる方もいると思うんですけれど、「クライマタリアン」の食の選び方とは、「食べるものの環境負荷を知って、納得して食べること」だと思っています。
例えば、牛のゲップにはメタンガスが含まれているため、牛肉の環境負荷が高いことであったり、豚肉や鶏肉にも環境負荷の差があったり、魚介類でも養殖のもの、例えばエビを養殖する過程でマングローブの林が傷つけられていたりと負荷がかかっていたりすることもあります。なので「気持ちよく食べる」を実践するために、お肉だったら牛肉は1回選択肢から外したり、エビだったら天然のものを選んだり、できるところからアクションしています。
あと、レストランで食事するときなどに、コースの中で何品かチョイスできたりしますよね。そういうときに、牛肉と鶏肉とジビエと魚の中だったら「自分は何が食べたいだろう」という選び方に、「自分が気持ちよく選ぶとしたら何がいいだろう」という選び方を加える。その「最大公約数のもの」を選ぶと、私にとってそれが「気持ちのよい食べ方」になるんです。

また、普段から、食べ過ぎちゃった日の翌日は「自分の身体も喜ぶ、そして地球も喜ぶ」というような感覚で植物中心の食事にしています。なので、地球のためだけではなく、自分の身体も気持ちよいこと、そしてそれが地球にも気持ちよい、というふうにつながればいいなと思って日々過ごしています。

ある日の「植物中心の食事」（画像:本人提供）。「クライマタリアンを手軽に実践する方法の1つとして『Meat Free Monday』という考え方があります。例えば週に１回、月に１回でもいいので、菜食だけの日をつくってみるという簡単なものです。あまり堅苦しく考えずイベント的にやってみるのがおすすめです」

「クライマタリアンってなんかやるのが大変そう」とか「すごく真面目っぽい」という印象を持たれることも多いなと思っているので、私は「楽しく食べる」ことを大事にしています。
私、結構ミーハーなところもあるんですけれど（笑）、“ミーハーなクライマタリアン”として、その周辺のニュースを日々SNSなどで追いかけています。
その中で最近気になっていることの1つに、ミシュランにグリーンなレストランを評価する「グリーンスター」という新しい格付けがあって、これがこれから日本にも増えていくと思っています。
例えば、2023年秋にフランスの三つ星シェフが、日本で初めて開いたレストラン『CYCLE』(東京・大手町)は、私も注目しています。食材や料理はコースの最初から最後まで、そしてお店の運営においても、ものすごくサステナビリティにこだわっていて、 今後、グリーンスターも取っていくんじゃないかと思っています。そんな感じで、実はたくさんニュースやトレンドが発信されているので、それをフォローしながら食べ歩くのもおすすめです！

クライマタリアンだって、ジャンクフード食べちゃいます！

その他にも注目しているお店としては、ヴィーガンのアイス屋さん『Ballon TOKYO』（東京・中目黒）やファーストフード店の『2foods』（東京・銀座、渋谷）。「ヘルシージャンクフード」というユニークなメッセージを掲げている2foodsさんは、一見ふつうのファーストフード店なので、気軽に利用できるし、まさに「楽しい」。

2foodsが提供するハンバーガーやドーナッツはいずれも植物由来の原材料だけで実現。他にもカレーやスクランブルエッグ風の「エバーエッグ」、アイス、ガトーショコラ、エナジードリンクなど多彩なラインナップ。同店が掲げる「必要なものは効率的に 罪悪感はゼロに」や「代替ではなく新しい選択肢」などのメッセージは、Mayuが提唱するライフスタイルに通ずるものがある

あと、“イベント化” “ゲーム化”することも「楽しく」実践する秘訣。「今月はジビエを極める“ジビエ月間”だ！」みたいにして、ジビエのおいしいお店を巡ってみるとか、この食材気になるから遠方まで行ってみるとか、カフェ巡り感覚でプラントベースのお店を巡ってみるとか。自分でキーワード縛りにしたりして、ゲーム化しちゃうのが面白いやり方かなと思っています。ひと口にプラントベースの食材といっても、実は原料が違ったりします。お豆ひとつとっても大豆やレンズ豆、ひよこ豆、おからを使っているものもあったり、プラントベースミートにはすごくバリエーションがあるんです。その中で「自分の好きなプラントベースミートはこれだ」というのを追求してみたりとか。あとは、ヴィーガンやプラントベースのラーメンなんかも最近多くて、特に担々麺とかゴマベースのものって相性が良いんですよね。ちなみにそういうお店は8割方お客さんが外国人だったりするんですけれども、それはそれで異国気分も味わえたりして、そういう観点での楽しみ方もあるかもしれません。

「食事って誰もが必ずする行為なので、食べ物を通して友人や周りの人を巻き込みながらアクションしていけるのもクライマタリアンというライフスタイルのいいところだなと思っています」とMayu

前述したように、クライマタリアンって、取り組もうとするとどうしても環境に良いものだけ選ばなきゃとか、毎食全部やらなきゃとか、真面目に考えてしまう方がいらっしゃると思うんです。でも、クラマタリアンのいいところって、1日に3食の食事の機会があるとすれば、3回を完璧にこなさなくてもいいところなんです。つまり1日に3回もトライできるチャンスがあるということ。1人がクライマタリアンな食事を1回するだけでもインパクトがあることなので、無理せずできる範囲でやるということが大事だと思っています。
むしろ1人の人が無理してずっと頑張るよりも、「私、実はクライマタリアンっていうのをたまにやってて」というくらいのニュアンスで周りに話して、それが「いいね」「私にもできそう」とどんどん広がっていくといいですね。
私も、メニューを選ぶとき、例えばお肉のメニューがあったとして、「チキンを選ぶほうがクライマタリアン的にはいいかもしれないけど、でも今日はポークが食べたい！」というときは、ポークを選んだりもします。食べたいという気持ちを抑えてしまうと、すごく辛くなってしまうので、食べたいものを食べる、でも、その食材にまつわるいろいろなことを「知っているうえで選ぶ」ということがすごく大事かなと思っています。

自分の中の“無邪気な食欲”は抑えない。
大事なのはそのときの“選択”と“知識”

「食」って、毎日のことなので、どうしても「これ食べたい」という気分はあって。じゃあ焼肉食べたい気分のときはどうするかというと、どういうお肉を提供している焼肉屋さんに行くべきかというのをまず考えて、さらにはサムギョプサル（豚肉を使った韓国風の焼肉料理）にするという選択も、１つのクライマタリアンな考え方です。
あとは、「おふくろの味」じゃないですけど、実家に帰ったら自分の好物を食べたいという欲求や、記念日にはこのレストランのこれが食べたい、というような「自分の中の大事な機会」のようなものも大事にしています。

“ルール”１つ目でお話した「気持ちよく食べる」、そして２つ目の「楽しく食べる」に対して、この「無理なく食べる」というライフスタイルは、自分の中では“無邪気な部分”というか、食に対してワクワクする気持ち。それを抑えないことを大事にしてあげるという感覚です。