



「人生の選択肢を増やすために、選択肢を減らしていく」完全食のみで3年以上生活をする笠原元輝
完全食の人 笠原元輝
KDDI総合研究所が2021年に立ち上げた「FUTURE GATEWAY」。KDDI research atelierがこれまで培ってきた技術を生かしながら、新しいライフスタイルを実践する人々とともに、これからのスタンダードを作っていくための共創イニシアチブです。この連載では、そんな「FUTURE GATEWAY」に関わる人々の価値観に迫り、一緒に未来を考えていきたいと思います。
今回登場していただくのは、必要な栄養素を詰め込んだ“完全食”のみで3年半以上生活している笠原元輝さん。自分の食事を作る手間を徹底的に省き、過去には「食事をやめた男」としてテレビなどで取り上げられたこともあるといいます。笠原さんはなぜ現在の食生活にたどり着いたのか。自宅にてお話を伺いました。
食事は生活ルーティンの一つだった

- FG:
はじめに、現在のお仕事について教えてください。
- 笠原:
二つのIT系企業で、それぞれサラリーマンとCOOとして働いています。昼間はサラリーマンとして働き、それ以外の朝と夜はCOOとして参画している会社で働くような形です。効率的に時間を使いたいので、ほとんどリモートで働いています。
- FG:
笠原さんは三年以上、ほぼ完全食のみで生活しているとお聞きしました。そもそも、完全食とはどのようなものでしょうか?
- 笠原:
形態としては、粉末を水に溶かして飲むようなものです。プロテインを想像してもらうとわかりやすいですかね。僕が愛飲している完全食は「COMP」というブランドのもので、厚生労働省が定める「日本人の食事摂取基準」をもとに作られています。きなこ味のプレーンタイプとミルク味の糖質制限タイプがあって、それぞれに好みでフレーバーを追加することもできます。僕は、水ではなく豆乳に混ぜて飲んでいます。
- FG:
笠原さんが完全食と出会ったきっかけはどのようなものだったのですか?
- 笠原:
三年前に参加した勉強会で他のエンジニアから完全食のことを教えてもらい、気になって試したのがきっかけでした。食べることに対する“めんどくささ”は以前から感じていて、当時はコーンフレークばかり食べていました。だけど、完全食のほうが楽だと思って三食すべてを切り替えることにしたんです。
- FG:
よく聞かれると思うのですが、飽きないですか・・・?
- 笠原:
僕にとって食事はただのルーティンなんです。歯磨きに飽きる人っていないじゃないですか。毎回歯磨き粉の味も変えないですし、それと同じです。
食事の他にやりたいことが多すぎた

- FG:
たしかに、ルーティンと聞くとその通りですね。ルーティン化するというのは他の生活の部分でも同じですか?
- 笠原:
自分の興味によりますね。たとえば、ファッションには興味がないので、服も靴も一種類しか持っていません。娯楽にも興味がないので、テレビにも触れないようにしています。電気も自動点灯するように変えましたし、「COMP」に混ぜる豆乳も一定量を切ると自動発注される仕組みを作りました。理由があって特別になにかをやる以外では、一日のルーティンから外れるのが好ましくないんです。だから、なにもせず一日を過ごしてしまうこともほぼありません。何か学びを得ないと生きた心地がしないんです。
- FG:
興味があって時間をかける部分もあるということですよね?
- 笠原:
猫を飼っているのですが、猫のごはんの用意には自分の食事よりも時間をかけています。あとはコーヒーが好きなので、こだわってハンドドリップで淹れたり。自分のやりたいことに対しては、それが世間から見て無駄だと思われようが、ちゃんと時間をかけてやりたいと思っています。反対に「やらなきゃいけない」「やらされている」と感じることが嫌なので、やりたいこと以外はできるだけ自動化しているんです。
- FG:
笠原さんにとって「食事」は、相対的に興味が低かったということなんですね。
- 笠原:
そうなんです。食事の他にやりたいことが多すぎて、優先度が下がっているだけなんです。一番避けたいのは「本当はやりたかったのにできなかった」という状況。だから、通常の食文化を否定したい気持ちはまったくありません。食べたい人は好きなものを食べればいいし、そうでなければ違う方法を取ればいい。自分にとっては、天秤の低いほうに食事があっただけなんです。
「完全食」という選択肢のある未来へ

笠原元輝:Fiah株式会社COO。新卒で株式会社ナガセに入社。ITによる大型校舎の業務プロセス改革やビッグデータ活用プロジェクトに従事。1年間で生徒募集における入学率を大幅に向上し、過去最高益を達成。その後リクルートキャリアに入社し、営業戦略から商品開発、事業全体の分析基盤の構築と事業KPIのモニタリング・ボトルネック探索と幅広い業務 に従事。分析の深度と立案実行の速さから入社1年で複数回MVS表彰を受ける。2020年よりFiah株式会社に参画。
- FG:
その中で、あらためて完全食のメリットはなんだと思いますか?
- 笠原:
やはり圧倒的な時短ですね。加えて、バランスの取れた栄養によって健康寿命が伸びるのであれば、人生においてやりたいことに費やす時間も増える。効率的に時間を使える、かつその時間自体を伸ばせる完全食は人生の選択肢を増やしてくれるものだと思います。
- FG:
先進的生活者として、完全食のある生活がもっと普及する未来は来ると思いますか?
- 笠原:
完全食を取り入れた生活スタイルはこれからもっと広まると思うし、実際にそうなってほしいです。理由としては、販路が増えてほしいから(笑)。今は通販で頼むにも時間がかかるし、気軽に手に取りづらい雰囲気があると思います。理想としては、ペットボトルタイプの完全食がコンビニなどでも販売される状態。最近は「BASE FOOD」(パン型の完全食)が普及してきましたが、そんなふうになればいいなと。「BASE FOOD」はパンと比べられてしまうので「パンより美味しくない」と思う方もいます。比べる対象がないような完全食の方が一度受け入れられたら広まりやすいのではと考えています。
- FG:
では最後に、ビジネスとしても、完全食に可能性を感じますか?
- 笠原:
大きく感じています。ターゲットは大きく二つ。忙しく働いている方とボディメイクをしている方にもっと刺さると考えています。時間がなくて朝食を食べられなかったり、妥協してコンビニで昼食を買っているような方に対して、時間を要さない完全食は良い選択肢になるはずです。ボディメイクをしている方も、一定の栄養素を継続的に摂る必要がありますよね。粉の量だけで摂取する栄養の量を調節できる完全食は、その点でもすごく楽だと思います。三食すべてを完全食にする必要はなく、自分の生活スタイルに合う形で試してもらえるとうれしいです
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