鎌田祐大
私のライフスタイルルール
t'runner鎌田祐大
先進的な生活を送る越境走者=t'runner(ランナー)の先進性は日々の暮らしの中でいかに恒常化しているのか?を「ライフスタイルルール」として紹介していく当シリーズ[MY RULE]。
今回は、美容師・料理人・整体師・バーテンダー・ヒューマンビートボクサーなど、複数の仕事を持つパラレルワーカーとして活動する鎌田祐大が登場。
鎌田 祐大(かまた・ゆうだい)/1989年生まれ。高校在学中より美容師を志し専門学校卒業後、都内の美容室勤務を経て渡米。約3年間、ニューヨークのサロンでスタイリストとして経験を積み、帰国後は都内のインターナショナルサロンに勤務。 2016年、27歳の時に前オーナーより店舗と設備を譲り受ける形で「5 1/4(ファイブアンドクォーター)」を開業。現在はサロン経営の傍ら撮影のヘアメイク、外資系企業のオフィス内にあるリラクゼーションスペースでヘアケアやカットを行うなど、フリーランスの美容師としても活動中。 「活動の柱を多くもつことで生きやすくする」を自ら体現するために、料理や整体などを中心にパラレルワーカーとしても活動中。
鎌田祐大のパーソナルインタビュー[MY PERSPECTIVE]はコチラ
t'runner鎌田祐大のライフスタイルルール
- LIFESTYLE RULE.01
- ルーティンを、あえて崩す
- LIFESTYLE RULE.02
- “憑依”させる
- LIFESTYLE RULE.03
- デトックスと、姿勢と呼吸
LIFESTYLE RULE.01
ルーティンを、あえて崩す
皆さん、ルーティンって大事にされていますよね。もちろん僕も大事だと思っています。美容師の場合、土日も出勤して、週に1日お休み、というような働き方が固定化してきます。もちろん1日1日の中ではお客様も施術する内容も違いますし、1つ1つの仕事もベストを尽くしているのですが、“動き方”がルーティン化していくといつの間にか惰性で動いてしまっていると感じるときがあります。なので、あえて意識的に「やばい、飽きてきた」「つまんない」とか「なんか新しいことをしたい」と思うようにして、それをきっかけにルーティンを崩しにかかります。
身近なところで言うと、自分の美容室の営業日を昨年と変えました。お店に限らず、そういった「決められていた曜日や時間」を変えるとか、大きなリスクが出ない範囲で変化をもたらすことを心がけています。そうすることで、かなりフレッシュな気持ちになれますし、それに生じる移動においても、例えば電車内で顔を合わせる面々も違ってくるわけですよ。それだけでもライフスタイルの中の彩りが変わります。そしてそのエネルギーが仕事に還元され、常にフレッシュでベストなサービスを提供できるようになります。
「崩す、というのはゼロにするということではありません。一度積み上げたものはゼロにはしません。積み上げたものの1つ横に行って、また積み上げるだけなんです」と独自のルーティンづくりについて説く鎌田
ルーティンをつくっている確固たる理由や信条があれば、もちろんそれはそれでいいと思います。でも特段理由がないのであれば別に変えてもいいじゃないですか。
「幸せですか?」って聞かれたときに「幸せです」ってはっきり言える人って結構少ないと思うんですよ。「うーん・・・」と考えてしまう方が多いと思います。であれば、今が「うーん」なのであれば、なにか変えることができる余地・余白もあるよね?と思うんです。
そこを追求するために、僕の場合は「ルーティンを崩すのがルーティン」になっているんです。
自分自身を実験している感覚でもありますね。期間を決めて、例えば1年やったら、ある程度そのルーティンはできるようになる。でも、それとは違うルーティンはまだゼロじゃないですか。だから、そっちのデータを取っていく。そしていろいろなパターンのデータを増やしていく。それが蓄積されたら自分はどう変わるんだろう?というのを楽しんでいます。
LIFESTYLE RULE.02
“憑依”させる
僕の場合、「学ぶ」ということはある種の憑依だと思っています。「学ぶ」の語源は、「真似ぶ」なんです。真似って、モノマネあるいはパクリと言われるように少しマイナスなイメージがあるんですけど、本当の意味は「真に似ている」ということなんです。真に似ていたら、ほぼ一緒ということです。なので、例えば僕の場合ですと、美容関連のことを早く習得したいときはとにかく先輩と同じ動きをする。そうしていけば真似に近づくんですよ。
カット技術はもちろんのこと、店内での動き方、話し方、表情のつくり方とかもできる限り観察して真似していきます。その対象が関西の方であれば、方言も全部真似します(笑)。だから僕の人格も変わっちゃうんですけど、このやり方が一番うまくいっています。
大きなきっかけは、アメリカにいたときですね。そのときのボスのカットの仕方がかなり独特だったので、どうしたらそれを学べるのか、頭だと理解が追いつかなかったので先に身体に覚えさせようと思って。動きを動画で撮らせてもらいながら真似し始めたのがきっかけですね。
技術を真似るにしても最初から上手くなるはずがないので、そもそも9割方は失敗するだろうという前提で憑依しています。なので、いかにやるか、です。とりあえずやったら必ず何かしらの結果が出ますからね。
僕の場合は、ひとまず100%憑依していったん完コピまで昇華していく。そこから自分の好みのような要素を混ぜていく。そのときにどのような変化が起こるかを感じ取る。ギャップを感じすぎたら止めればいいだけなのですが、ともかくはやってみないとそのギャップにも気づけないので、とりあえず全部入れて咀嚼します。それによって何が自分に合うのかもしくは合わないのかが分かるので、より生きやすくなるんです。
LIFESTYLE RULE.03
デトックスと、姿勢と呼吸
仕事もそうですが、何をやるにしても身体が資本だと思っているので、日々健康への意識を高く置いて生活をしています。身体に良いとされるサプリを飲んだり、玄米食にしたりファスティングをしたりストレッチをしたり、いろいろなことを試してきました。それももちろんいいのですが、でもそれって全て「足している」行為なんですよね。なので、元々持っているこの素の身体の状態をいかに引き上げるかを追求しています。その中で一番効果があったのが、呼吸です。いかに深く呼吸を入れるかが大事で、息がしっかり入ると頭が冴えて肉体的なパフォーマンスも上がるんです。
人にもよりますが10回ほど深く呼吸を入れるだけで視界がクリアになったり、脳がスッキリしたりします。お客様にも呼吸法を教えてやってみてもらったりするのですが、明らかに調子が変わるんです。中にはそれほど変わらない人もいるのですが、そういう人は姿勢が原因なんですよね。
姿勢って、その人の今の身体の状態に合わせて必然的にその姿勢になっているんです。そして、呼吸が入りづらい人の特徴は身体の中心の軸が取れてないんですね。
呼吸が浅いと、当然酸素も体内に行き届かなくなって身体全体がローモードになる。でも深く呼吸をすると、肺や横隔膜も活発になってストレッチをしている状態になる。そうすると相乗効果で首や肩回りなども動きやすくなるんです。
少し呼吸を意識しただけで僕も身体が変わりましたし、内面においてもいろいろなことが俯瞰して見れるようになったり、寛容になれるようになりました。
でもそれって新しいライフスタイルでもなんでもなくて、元々持っていた人間としての機能を使えてなかっただけなんですよね。
「武術や武道においても肝要なのはやはり呼吸なんです」と、日本に古から伝わる呼吸法や身体の使い方も積極的に取り入れる鎌田
生き方を楽にしてくれた毒出しとの出合い
健康を意識するライフスタイルの中で、口に入れる食品も無添加や無農薬、身体に良い栄養素が入っているかなどに躍起になっている時期がありました。パッケージの成分表を凝視して、吟味して、長い時間をかけたのに結局何も買わずにスーパーを出るということも多かったです。
子どもに与えるものもなるべく保存料や糖分を抑えたものを食べさせていたのですが、幼稚園くらいになってくるとやっぱり子どもたちで公園で集まる会とかお楽しみ会とかが増えてくるじゃないですか。そういうところでお菓子が配られたり交換されたりするのですが、そこを制止するのはそれはそれで違うと思って。でもあるとき食べ過ぎて血糖値が急激に上がって、いわゆるSugar-Highになってしまったんですね。これまであまり糖分の多いお菓子を食べてこなかった反動ですね。
この出合いは、口に入れるものに気を使いすぎていた僕にとってもかなり生きやすいものとなりました。それまでの僕は、友達と「ラーメン食べようぜ」とか「ピザ取ろうぜ」というようなことになったときに「えー、どこの小麦なんだろう」「食材はどこ産なんだろう」とか内心思っていたのですが、そんなことを考えながら食べていても全然楽しくないじゃないですか。でも、デトックスを実践し始めてからは、100%そのような状況を楽しめるようになりました。
毒を出すことは、いろいろなところに作用します。肌も綺麗になるし、朝起きやすくなりました。なにより身体の中のセンサーが高くなって、不調に気づきやすくなったんです。
これまでお話してきたように、僕が今やっている美容や料理という領域にも「食」は必ず関係してきます。そこにデトックスという概念と、姿勢と呼吸の意識を組み合わせてライフスタイルの1つの“ルール”にしています。